2015年1月7日水曜日

【学生残酷映画祭×シッチェス】『ゾンビ・リミット』レビュー

 本日は、HIGH-BURN VIDEO賞受賞の高瀬監督による『ゾンビ・リミット』のレビューです。ゾンビ映画もまだまだ可能性を秘めていると思います。レンタル開始、ブルーレイ・DVD・デジタル配信リリースは2月4日より。

 

学生残酷映画祭2014 HIGH-BURN VIDEO賞受賞『RAPE KILLER』高瀬夢監督によるレビュー

ゾンビ映画はゾンビだけに腐る程ある。アクションからコメディまで、様々なジャンルで映画化されてきたが、それでも一年に一度は新生ゾンビ映画が誕生する。『ゾンビリミット』もその一つと言えるだろう。原題『THE RETURNED』(帰還者)とは劇中で出てくる感染者の総称だ。本作ではワクチンにより、感染を留める事が出来る世界をゾンビドラマとして描いている。最近では『ビフォア・ドーン』が記憶に新しいが、本作のドラマは一筋縄ではいかないストーリー展開になっていて、ホラー、ロマンス、緊張感漂うサスペンスを観ている感覚にもとらわれる。さらに本作では、ウィルスが発症してしまったゾンビの動きを止めるには、首をもぎ取るか、脳みそを破壊するしかない。など割とロメロゾンビしていて嬉しい限りだ。そして、映画ファンなら一度は体験したことのある、ラストを迎える。その余韻は本作を鑑賞し是非もう一度味わってほしいものだ。

学生残酷映画祭実行委員会によるレビュー

ゾンビに噛まれても定期的にある薬物を投与すればセーフという設定の下、タイムリミットが迫る夫婦の愛の戦いを描く。ゾンビの誕生以来続く「ゾンビも人間といえるか」という議論をさらに推し進めて、問題はより線引きの難しい厄介な次元へ。ウィルス以上に強力な「偏見」に感染した人々の中にいても、主人公の行動は他者を無視した職権濫用であり、映画は常に倫理的ジレンマを掲げている。「愛」という最も尊いはずの人間感情にさえ疑問符がつく世界。安易に‟現代社会の映し鏡”とは言わないまでも、完全に娯楽として割り切って観ることができないことに対する不安。

0 件のコメント:

コメントを投稿